鋼材店とは鉄の流通を担う仕事 |
鋼材店は流通・卸売業に分類される。意外に思った人もいるかもしれない。事実、鋼材店と聞いて鉄を作っている会社だと思われることが多々あると大森洋一社長は語る。実際は製鉄所が鉄を作っており、鋼材店は製鉄業者から鉄を大量に仕入れ、顧客の要望に合わせて鉄の加工・販売を行っている。 |
具体的には、JFEスチールなどの鉄の製造メーカーから大量に鉄を仕入れて、自社の倉庫に在庫をする。お客様から要望があると、必要分だけを小分けにし、時には加工を加えた状態で納品するという仕事だ。例えるなら鉄のスーパーマーケットという位置づけである。スーパーはメーカーから箱単位で仕入をし、バラ売りができるように売り場に陳列する。お客様はキャベツ一個とか、お菓子を一つとか、ジュースを五本と必要分だけ買う事ができるといった具合だ。鉄で言う加工というのはスーパーでいうお惣菜の様なイメージで、野菜を丸のまま売るのではなく、切ったりして納品するという事である。 |
鉄はあらゆるところで使われる身近な金属 |
鉄は安く加工性が高いため、多くの製品に使用される。身近なもので挙げるなら机や車、建物の基礎などがある。ガードレールや照明灯なども鉄でできている。そのため、鉄を卸す先は建築、土木、農機具メーカー、造船関係、産業機械、電気関係、自動車関係と多岐にわたる。また、一部鉄以外の金属、ステンレスやアルミ、銅などの非鉄と呼ばれる金属もあつかっている。鉄をメインで使うが、一部にステンレスを使いたいとき、ステンレスのみを専門業者に頼むのは手間がかかる。そのような場合に鋼材ステンレスをメインに使うが、一部鉄を使いたいという逆のケースもある。そのため、非鉄を専門とする業者が鋼材店の顧客となっていることもあるそうだ。 |
大森鋼材店の生い立ち |
|
経験を重ねて信頼関係を築く営業職 |
営業に携わる人は誰しも最初から専門知識を持ち合わせているわけではない。皆、仕事を通じて知識や経験を少しずつ身につけるのだという。営業職で入社した場合、まずは作業員と一緒に倉庫で働きながら半年ほどかけて扱う商品のことを覚えていく。伝票を見て、実際に扱う品物の形や長さを見て覚えるのだそうだ。一般的には大体1年で営業回りができるようになり、2、3年経つと慣れて独り立ちするという。営業職はお客様といかに信頼関係を築くかが重要になってくる。日々世の流れを知り、雑談を交えて相手の興味を探りながら距離を縮めていくことが次回の受注にもつながる。また、事務所で営業事務や経理を行う仕事もあるそうだ。 |
|
鋼材店とお客様の橋渡し役、作業員と運転手の仕事 |
|
地域密着型の顧客同士をつなぐ会社へ |
|
インタビュアーから |
インタビューを通じ、鋼材店とは私たちの生活の基礎を支える身近な会社であることがわかりました。競合他社と同じ形や材質の商品を扱うからこそ、地域やお客様とのつながりを大切にする。その姿勢が海外との価格競争など自社努力とは別の外的要因も多い鋼材業界で生き残っていく秘訣なのだと思いました。 |